はじめに
機械システムの設計では,機械の動力学(ダイナミクス)を考慮することが求められる.たとえ可動構造部品が変形をしない剛体であっても,その質量・質量中心の位置・慣性モーメントが適切に設計されていないと,機械の運動性能を損なう可能性がある.さらに実際の構造部品は,軽量化の目的で薄く細くすることが多いため弾性変形し,結果として機械構造が「振動」を起こす.振動が起これば精度の劣化や寿命の短縮など,機械のさまざまな性能に影響を及ぼす.騒音が発生し,音響加振による機械の破壊や,人体への健康被害をもたらすこともある.
従ってここで必要となるのが,機械構造の動力学を考慮した設計の方法論の確立と,そのための構造動力学のさらなる発展である.構造動力学を考慮した設計過程としては,
- 問題の要因に関する仮説の立案(初期分析と仮説推理)
- 要因の本質を抽出した実験とシミュレーション(モデリング)による仮説の立証(精密分析)
- 問題の解決策(新たな設計)の提案と(2)による有効性の立証(基礎検証)
- 現実の問題への解決策の適用(実用検証)
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研究室のミッション
私たち動設計学研究室は,以下の2つをミッションとして掲げる.
- 機械構造の動力学の理論を究理し技術課題の解決法を考究することを通じて,新たな機械システムを創造し,その設計法を知識化する.
- 上記の研究活動を通じて,高い専門知識に加えて,高い意欲・高いコミュニケーション能力・高い倫理観を備えた人材を社会へ輩出する.
研究対象
大きく分けて以下の三つを研究対象としている.
- 機械の構造動力学(機構運動から構造振動までの広い範囲)
- 機械音響学,音響情報認識学とその応用
- 宇宙システム工学
JAXAや企業など外部との共同研究や連携を積極的に行い,現実の課題に取り組んで,新たな設計の提案による問題解決と,設計法の知識化を目指している.
見学の問い合わせ
研究室の見学や研究活動への参加を希望する方は,気軽に助教の坂本(hsakamoto [at] mech.titech.ac.jp)まで連絡をください.
About SDDL
Welcome to the Structural Dynamics Design Laboratory (SDDL) in the Department of Mechanical and Aerospace Engineering at the Tokyo Institute of Technology. The SDDL is involved mainly in three areas of research: (i) structural dynamics, (ii) acoustics, and (iii) space systems. The objective of the Laboratory is to explore innovative mechanical designs through investigations of dynamical systems and to train young engineers who will lead this field in the future.
The SDDL is led by two faculty members. Professor Masaaki Okuma, the director of the Laboratory, is interested in many areas of structural dynamics, including theoretical modeling, experimental identification, and vibration and noise reduction. His research fields also include the development of sound separation and recognition algorithms. Assistant Professor Hiraku Sakamoto joined the Lab. in 2008. His research interests are the design and analysis of flexible space structures mainly consisting of thin membranes or cables, and in computational mechanics. He also leads the development of small model-satellite, in the scope of the Cansat competition, in order to explore design methodologies for future space systems.
For enquiries about lab tour and research collaboration, please contact Assistant Professor Hiraku Sakamoto (hsakamoto [at] mech.titech.ac.jp).
Resonicテクノロジー
当研究室では,機械構造の質量,質量中心の3次元位置,そして慣性テンソル成分からなる「剛体特性」を,1 度の計測で求める新しい技術を開発し,これをResonicテクノロジーと名付けました.
本技術では,対象構造を柔らかい複数のばねで吊り下げて振動させ,その固有振動数を計測し,そのデータから剛体特性パラメータを算出します.以下の動画で計測のデモンストレーションをご覧ください.
計測のセットアップは懸架台に対象構造を載せるだけで,他はすべて自動化しています.計測は1回15分程度で,他の方法では計測が困難である3個の慣性乗積を含む,全10個の剛体特性パラメータを高精度に推定できます.
発明者である当研究室の卒業生Robert Kloepper博士は,本技術に基づいてベンチャー企業を創業し,共同代表を務めています.
模擬人工衛星Cansatの開発
当研究室は,2008年度よりCansat打ち上げ競技会ARLISSに参加しています.Cansat(カンサット)とは,1998年に米国スタンフォード大学のTwiggs教授らが提唱したもので,もともとは350ml缶サイズの模擬人工衛星を指していましたが,現在ではその3倍ほどの大きさが主流となっています. ARLISSではアマチュアロケットグループAeroPacの協力のもと,ネバダ州ブラックロック砂漠においてCansatを高度約4kmまで打ち上げます.Cansatはロケットから放出されたのちに地上の目標地点へ向う自律制御を行い,目標地点までの到達距離や所要時間を競います.(これを「カムバック」競技と呼びます.)
2008年度
2009年度(画像クリックで動画ページへ)
2011年度